12.26.2015

モノに思いを宿すということ

道具というのは機能を重視するモノもあれば見た目を重視したりします。
理想としてはどちらも兼ね備えているモノです。

そして、モノというものには思い入れというものを人は注入していきます。
使っていないけど、捨てられない、手放せないなんてことも多いと思います。
何個もなくてもいいのについつい買ってしまうなんてことも(苦笑)

僕にとってボールペンがそうかもしれません。



もともと僕が使っているボールペンとシャープペンシルです。
どれも思い入れが強く、使っています。

モンブランのボエム(小さいタイプ)は14,5年前に新宿伊勢丹のメンズ館内の
お店で働いていた時にモンブランショップでバレンタインイベントを開催してて
その時に自分用にこのバレンタイン限定モデルを購入しました(笑)
通常モデルはハート型ではないんです。コレは芯を太いのにしたり普通にしたりと
ずっと使ってます。ほぼ間違いなく一生使ってくモノの一つだと思います。

モンブランのシャープペンシルは10数年前ハワイに初めて行った時になんとなく記念に
買っちゃいました(笑)モンブランはもう1本持っていましたが、探しましたけど、
手元にないのでおかしいなと思いましたが、後輩にあげたような記憶があります。
大事に使ってくれてればいいんですが・・・

そして、赤いのがモンテグラッパ。コレは4,5年くらいの短い歴史になりますが、
お店でお客様がサインで使用する際に使っていただいてますが、僕も仕事で
使うことも多かったので、お客様専用のモノを探していたんです。

すると、意外なところがボールペンを作るという情報が。
しかも、受注生産の限定だと。これはこれはオーダーしなきゃと。
そして、オーダーして2ヶ月くらいで届きました。


trunkではもはや大定番のバッグブランド「Ense」がボールペンを限定で作りました。
ペンケースはやっぱりレザーで。何種類か色があって、金具もゴールドとシルバーで
選べたのでカスタムオーダーでしたね。1本はお店用、1本はプレゼント用です。


お店で使うモノなのでお店に関わりがあるモノが良かったのでピッタリです。
材質はウッド。職人が一つ一つ削り出しています。以前取り扱いがあった
クラッチバッグの取っ手部分も同様の手の込んだモノを使っていました。


品がいいですね。フォルムも素敵です。お客様が使われて、欲しいなんて声が
出ないかな?なんて期待もあってお店で使います。
その時はEnseにお願いしたいな、なんてことも考えています。

また1本、長く使っていくモノが増えました。モノに思いを宿すということは
モノを大事に使う秘訣なんでしょうね。

皆さんもモノに思いを宿してみてはいかがでしょうか?

12.16.2015

Godfatherに見るファッション

僕は15、6年前に洋服業界に入りましたが、せっかく仕事としてやるなら
それまでに着たことがないスーツを着たいと思いました。
もともと大学生の頃からスーツスタイル自体には興味があったので、志願しました。

スーツは実際にカジュアル服の元になっていますし。

その頃は今と違ってインターネット環境が今ほど普及してなかったり、情報も
限られていたので写真集や映画を見て洋服の勉強していました。

そして、出会ったのが「ゴッドファーザー」です。



それまで、なぜか敬遠して見ていなかったのですが、スーツを着るなら見なきゃと。
内容も好きですが、スタイリングがすごく格好良く入り込みましたね。
BOXセットは後輩にあげたのでまた新しく買って自宅にあります。
今でも気が向いたら見ます。内容は決して明るいものではないのですが、大好きです。



写真集も持っています。実際は写真集というよりも3部作の紹介ですね。

個人的にはパート1とパート2が好きです。パート3は内容的に暗すぎというか、
ちょっと辛すぎますね、見ているのが(苦笑)

パート1は1940年代半ば〜50年代前半、パート2は1950年代後半、
1910年代〜20年代の話になります。生活環境、スタイリングが非常に興味深いです。

まずは、マーロン・ブランド演じるゴッドファーザーことヴィトー・コルレオーネ。
あのかすれた低い声もしびれますね。所作も含めて最高に格好いいです。



少しブラウンよりのグレーフランネルスーツにグレーっぽくも見えるブルーの
シャツに赤茶のネクタイ。格好いい・・・
白シャツなんかだと堅く見えるかもしれませんが、デニムやシャンブレーシャツを
合わせると少し「抜き」が出ますよね。


そして、僕が彼のスタイリングで一番好きで影響されたのは映画でも後半のシーンの
このスタイル。ダークスーツにネイビー地に赤のペイズリー柄のタイ。
僕はベルベストでチャコールグレー地にネイビーのカラードストライプのスーツを
オーダーで作ってフランコ・バッシでそっくりなネクタイを買いましたね(笑)
当時は僕も髪型はオールバックでした。ガラが悪いとよく言われました(苦笑)

そして、アル・パチーノ演じるマイケル・コルレオーネ。


彼は大事に育てられ、父親のようにはなりたくないという思いで大学中退して
海軍に入り第2次大戦で英雄になるといったインテリ系というか
おぼっちゃまといった位置付けでした。その当時のスタイルがこの写真ですが、
コーデュロイのジャケットにボタンダウンのシャツを着てネクタイといったところも
そのおぼっちゃま的要素をスタイリングでも表現しているんだと思います。
でも、アイビースタイルに通ずるこのスタイルも好きですね。


このマイケル役にはもともとロバート・レッドフォードの予定だったそうですが、
コッポラ監督がアル・パチーノ推しで無理やり進めたそうです。配給会社の
言うとおりにしていたら、きっとこのような映画にはならなかったでしょうね。

この時代はブレイシーズも必須アイテムですね。どんなスタイルの時もしてます。


僕がマイケルのスタイリングの中で影響受けたのがパート2の冒頭シーンで
着ていたこのスーツ。グレーのシャンタン生地。これはたまりません!
サンタキアラのネップ感のあるグレーのリネンスーツ、マイケル・タピアの
シルクシャンタンのベージュのスーツを買いましたね。

デリケートな生地なのでシルクシャンタンのスーツは結婚式なんかの時に
着るくらいですね、今となっては。


パート2の最後の方のシーン。もう貫禄ありすぎです(笑)
ダークトーンのスリーピーススーツもやはり買いましたねー。

この時代、実際にアメリカにいるイタリア移民はかなりの人数でもありこのような
マフィアというのは実際に存在していて、彼らはイタリア人ならでは?の
身だしなみ、着こなしはアメリカ人よりも気を使っていたため、劇中でも
「ポマードつけて格好つけているのが気に食わない」何ていうセリフも
出てくるくらいです。価値観の違いなんでしょうが、格好いいですね。


パート3ではマイケルはもうおじいちゃんです。ただ、このスタイルも素敵。
ピンホールのシャツにペイズリーのネクタイ。そりゃ、真似しました。
ただ、当時はピンホールのシャツを探してもなかなか見つからず、仕方なくフライの
タブカラーシャツを購入しました。そして、自分の会社にピンホールとタブカラーの
シャツをオリジナルで作るようにお願いしました。

先ほどの3ピーススーツ、ピンホール、タブカラーシャツに共通するのはネクタイが
立って立体感が出るんですよね、胸元に。それがグラマラスで格好いい。

このシーンというのは偉い人たちが集まっているんですが、父親のヴィトーも
同様のシーンでペイズリーのタイしてましたよね。シンクロしてるんです。


番外編ですが、マイケルの妻のケイを演じているのはダイアン・キートン。
彼女はファッションアイコン的存在ですよね。素敵です、本当。
以前に紹介した「アニー・ホール」はパート2とパート3の間の作品です。


パート2ではヴィトーの若い頃の話がありますが、それを演じているのが
ロバート・デ・ニーロです。彼はパート1の時にマイケルのお兄さんの
ソニー役のオーディションでイメージが合わずに落ちていますが、演技力は
買われたのでこの役に抜擢されています。声をマーロン・ブランドに寄せたりと
非常にいい演技をしています。

このシーンは1910年代〜20年代になります。今までと違い少しカジュアル感が
出ますが、こんなテイストのスタイリングが好きな人は多いんじゃないでしょうか?
バンドカラーシャツにチェスターコート。今もしますよね。

この頃は平凡な生活ではありますが静かに幸せに暮らしていた頃になります。


大人しかった彼が少しずつ見た目も変化していきます。髭を蓄え、オールバック。
そして、このスタイリングも格好いい。ダークトーンのシャツにネクタイ、
チョークストライプのジレにアトリエコート。参考になりますねー。


先ほどのスタイリングのアレンジ版。ネクタイがむちゃくちゃ格好いい。
ディンプルの入り方がすごく好きですね。ノットの小ささといい、大好物です。

アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロともに時間とともに成長、変化してて
それが演技だけではなくてスタイリングからも伝わるっていうのがいいですね。


番外編はこの時代の隣人から相棒となるクレメンザ。このスタイルもいいですね。
ラウンドカラーに艶っぽいタイをしてタイピン。スリーピースだったかツーピース
だったかは忘れましたがなかなかのオシャレぶり。


ヴィトーがゴッドファーザーになるきっかけは彼との出会いでもあります。
出会った時の彼らのスタイリングを見ればなんとなく分かりますよね。
このクレメンザはおじちゃんになるとびっくりするくらい太ってます(笑)

国は違えど、この時代のスタイリングで有名な写真集といえば、


アウグスト・ザンダーの写真集ですね。様々なデザイナーがこの写真集に
影響を受けて物作りをしています。

マフィア映画はスーツスタイルの勉強になるとよく言われていました。
たくさんある中でもやはりこの映画が一番かと僕は思っています。

昔の人ほど意外と身なりには気を使っていた、ということに気づかされて
自分も背筋が伸びることも多々あります。小さな喜び、幸せを大事にしていた
時代ってもしかすると現代よりも豊かだったんでしょうね、心の面で。

いかがでしたでしょうか?かなりファッションに寄った見方ではありますが、
非常に素敵な映画です。ぜひ、ご覧になってみてください。

12.12.2015

「福岡の隠れ家・穴場」という素敵な本

先日、「福岡の隠れ家・穴場」という本が出版されました。
「ソワニエ」などを出版している聞平堂が手がけた本になります。
もともと飲食店のイメージが強いのですが、今回は幅広く紹介しています。


タイトルの通り、少し離れたところにあったり、少しわかりにくい場所に
あったりするお店を中心に紹介されております。僕個人的にも知っているお店、
知っている方々が掲載されております。飲食店は知らないお店ばかりで少し
自分が情けなかったりするんですが、この本を見て行ってみようと思いました(苦笑)

「ショップ編」にて紹介していただいておりますが、セレクションが非常に
上手いなと生意気ながら感じました。バックグラウンド、テイスト、テーマなどが
いい意味でバラバラなので、それぞれのお店が際立っているように感じました。

この本に掲載されているお店を回ってみると絶対面白いなと。
飽きませんね、きっと。意外とお店巡りって似たテイストのお店が多いと
途中で飽きてくるんですよね。

ぎゅっと詰まった内容になっていると思います。


trunkはP120、121に掲載していただいてます。
ライターのセンスの良さ、真面目さが文章によく表れてて、
素敵に紹介していただいてます。こんな素敵なお店の面々の中に
仲間入りさせていただいて非常に光栄です。

コンビニ書店にて絶賛発売中ですので、ぜひ買って読んでみてくださいね。