4.24.2023

20年周期のカルチャーをプラモデルに見る


コロンとしたフォルムが可愛らしいクルマに見たことのあるステッカーが。VANですね。
このクルマはスバル360 レーシング仕様になります。

マイクロエース オーナーズクラブシリーズになります。1/32スケール。

60年代半ばに流行ったクルマの一つです。そして、VANもその当時流行ったブランド。


日本車というのもあるので「TAKE IVY」よりこっちの方がしっくりくるかもですね。
塗装も実車に近付ける塗り方はしてないので、イラストと並べると良い感じです。
 

本の中にこんなページがありました。ビートルを選んでたんですって。
でもみんながみんな外車に乗ってたとは思えないので代替えの車があったはず。

このスバル360って別名「てんとう虫」なんです。ちょっとビートルに似てませんか?
当時も似てるということでカブトムシならぬてんとう虫と呼ばれたそうです。
人気あったということは、ビートルの代わりにという人も少なくなかったかもですね。

当時「サブロク」と言われる360ccの軽自動車が盛り上がってたそうで、
他にホンダN360やマツダ キャロル360などなどたくさんあったそうです。
今見てもどのクルマもデザインが素晴らしいです。いや、ほんと素晴らしいです。

同時代のスポーツカー、トヨタ スポーツ800やホンダ S800も人気だったそうですね。
それぞれ「ヨタハチ」「エスハチ」と呼ばれてたそうです。
昔のこういう名称付ける感じ、良いですよね。名称というか愛称ですね。


このキットはレーシング仕様なので様々なステッカーが貼られていますが、この時代は
普段乗るクルマにもステッカーを貼ってました。若者中心ですが。

上の写真のクローバー模様のステッカーですが、RACING MATEというブランドです。
見つけましたので引用せずにリンク貼っておきます。興味のある方は覗いてみてください。

それを読むとVANもステッカーになってるのが理解できます。
街乗りのクルマでも貼られてたそうですよ。


僕はVANの服は着たことがありません。2歳くらいの時事実上倒産してるので、
リアルタイムでは無いです。ただ、倒産後も根強い人気で日本におけるIVYの象徴にまで。
そうなると僕が初めてVANにまつわるモノを所有することになるのはプラモデルです(笑)

IVYは1年に数回ファッション誌で特集組まれるのでVANのロゴはよく目にしてました。
僕ら世代だとHOT DOG pressってちょっとエッチなコンテンツの特集が組まれることが
多くなってはいましたが、80年代なんかはIVY特集を結構やってたそうです。
個人的には馴染みがないので意外でしたね。当時は小学生くらいなので見たことないです。

STPはオイル関連のアメリカのブランドですね。意外と見たことあるな〜となるロゴ。
今でもですが、スポーツ関連のスポンサーのロゴって印象に残るんですよね。
僕はフォント含めて60~80年代のデザインが好きなのでこういうの嬉しいです。

カルチャーって20年周期と一般的に言われています。
これらのクルマ、プラモデル、アイビースタイル、
それぞれジャンルは異なりますが、当てはまります。

偶然ではないかも知れませんね。


そして、見慣れた足跡のマーク。「HANG TEN」です。
僕自身も幼少期の70年代に何かしら見た事あるし、何か持ってたかも知れません。
当時はアメリカのサーフブランドという認識はありませんでした。

60年代半ばのカルチャーが見えてきますよね、この車見てると。
コレもプラモデルの楽しさだったりします。コレきっかけに色々調べましたしね。
知識の上積みが出来ます。

そもそも組み立てるにも塗るにもこのキットには情報が少なすぎるため実車の画像や
完成品の画像を探してみたりして参考にします。そうすると当時のこのクルマの宣伝の
ポスター画像なんかも出て来てその時代を感じる事もできました。

もともとこのキットはLSという会社が製造販売してましたが、倒産したため使用してた
金型をアリイ(現マイクロエース)が引き継いでる形となります。

80年代からの金型なのでそろそろ限界じゃない?というレベルではありますが、
ヒケやバリを丁寧に取り除けば実売600円ちょっとで十分楽しめるキットです。
ついつい同時に同シリーズの他の車種含めて6台組み立てました。

初心者の方にはお勧め出来るキットではないですが、素晴らしいキットです。

カルチャーの20年周期はほんとかもね、という話

4.18.2023

プラモデルに見るミリタリークロージング


何かのワンシーンのような写真ですが、コレ全てプラモデルになります。
1/35スケールなので大体5cmくらいのサイズです。

左からアメリカ歩兵、イギリス空挺兵、フランス歩兵、ドイツ歩兵、ドイツ戦車兵で
第二次大戦期の各国の兵士、士官のプラモデルです。




全てタミヤ のキットになります。タミヤの箱絵は昔も今も素晴らしいんです。
モデラーはこの箱絵を参考に塗装することもよくあります。
ディテールなんかも箱絵を参考にしてプラモデルにディテールを追加したりします。

上からアメリカ、ドイツ、フランス。

ミリタリーウェアというとカーキ、オリーブと何となく全部似たような色と思われてる方も
多いかも知れませんが、各国思ってるよりも色目が異なります。時代にもよりますが。

アメリカはいわゆるオリーブドラブ、ドイツはフィールドグレー、フランスはカーキ。
色だけでなくデザインやサイズ感など様々の違いがこの絵だけでも分かりますね。


タミヤの箱の情報というのは側面にもビッシリあります。


戦車や車両などの場合は説明書にビッシリ記載されており、歴史を知ることもできます。
2枚入っていて英文のものあるので何なら英語の勉強にも使えます。興味のあるモノを
使う語学勉強の方法は非常に有効的ですよね。子供にとっても。


こういった小さなパーツを切り出して成型を整えて接着していくと立体物が出来ます。

写真はアメリカ兵のモノで発売が一番新しいモノです。パーツのキレも違えば分割方法も
秀逸です。良くも悪くもスタイリッシュにもなっています。生産年代によって造形は
随分と異なるのもプラモデルの醍醐味だったりします。

1968年にタミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズの第一弾が発売されてます。
いつかそのキットもご紹介したいですが、そのキットには複数体フィギュアが付いてます。

40年、50年前のモノは参考にした人の体型をできるだけ忠実に再現したためなのか
今のものよりも横に広く縦が短いです。1/35スケールなので今のものが大体180cm超えの
スマート体型に対して175cmくらいののガッシリ体型といった感じなので納得できます。

ちなみに今回の5体の中ではフランス歩兵が一番古かったかと思います。2007年です。
その次が2013年のイギリス空挺兵、2017年ドイツ国防軍戦車兵、2020年ドイツ歩兵、
2022年にアメリカ歩兵といった感じでタミヤのフィギュアキットの中でも新しいモノ
ばかりなので並べてもあまり違和感ありません。アメリカ、ドイツ関連は他多数あります。

歴史あるタミヤだと尚更ですが、プラモデルというものは金型が残っていれば
今でも使えるので50年前のモノが今でも手に入り作れるんです。素敵ですよね。


「ちょっと待て」のポーズのフランス士官。非常にクラシカルでこの時代においては
実は少々時代遅れと言われてます。第一次大戦期からほとんど変わってないそうです。
逆に第一次大戦期には最先端とまではいかなくともちょっと先を行ってたそうです。
服や装備だけでなく戦車等も同様だった模様です。

この辺りからも開戦早々にドイツに敗戦したというのは納得ができます。

ですが、ファッションという面で見るとやはりフランスのこのクラシカルな洗練された
スタイルは非常に素晴らしく惹かれた人が多いのも納得です。


ロングコートを着てても走れるように裾をたくし上げてボタンで留めてます。
こういうディテールをプラモデルで見れるのは嬉しいです。余談ですが、この裾を
捲し上げた部分をより立体感を出すために境界線を掘り起こす作業をします。

生地もかなり厚手のため重かったでしょうし、機能という面では他国に遅れています。
兵器だけでなく車産業等の様々な産業において戦争というのは技術の発達に影響しており、
生地や繊維産業も例外ではありませんでした。

余談ですが、コレらフィギュアの中で一番ジブリっぽい兵士はフランス歩兵です(笑)


一方でアメリカ歩兵とイギリス空挺兵を見てみると装備品はしっかり持っていますが、
軽やかな印象です。ほぼほぼ現代に通ずるデザインになっています。

連合国、特にアメリカは戦時中にも様々なモノを開発してそれを大量生産して
自国だけでなく連合国へも供給したことが大きく戦況を変えたと思います。


そして、ドイツ歩兵とドイツ国防軍の戦車兵。ドイツってクラシカルではあるんですが、
ピシッとしてるんですよね。フランスほど曲線がなく直線的だからだと思います。

ドイツは大戦初期は圧倒的戦力だったように他国よりもかなり進んでいたようです。
水や燃料を入れるタンクのことをジェリカンと呼びますが、もともとはドイツ軍が
使用してたモノをイギリス兵が鹵獲して真似をしたそうで、ジェリー(ドイツ兵)カンと
呼んだのが由来だそうです。イギリスではほぼそのままのデザインで製造したそうです。

最終的には国力の差、数の差等が勝敗を分けた形となります。
この辺りはガンダムの地球連邦軍とジオン軍にもダブりますね。

ドズル・ザビが「戦いは数だよ、兄貴!」と言ったのはまさに真意で、1年戦争開戦時では
ジオン軍のモビルスーツの開発が進んでいたため優勢でした。また、次々と新兵器を
開発してましたが、量産が難しいものばかりだったんです。次第に形勢は逆転します。

一方、地球連邦軍はジムやボールなど生産性の高いモノを大量生産します。
ガンダム一強という見方もありますが、実際にはジムやボールが勝因と言えます。

と、話が逸れてしまいましたが、プラモデルから様々な情報を吸収することができ、
組み立てを楽しみ、塗装する楽しみもあります。



インターネットで様々な情報を知り得る事が出来るようになりましたが、個人的には
ちょっと深い話や写真なんかは結局は文献などから得ることが多いです。
こういう何気ない写真というのはリアリティもあるので参考になります。

ファッションに通じるものは様々なことから学ぶ事ができます。
その一つがプラモデルだよ、という話。

1.08.2023

VINTAGE? NEW VINTAGE? USED? REUSE? 簡単なのに難しい英語の日本語解釈

 


近年、エコ、サスティナブルという言葉が日本でも飛び交う様になりました。
欧米に比べて日本は意識レベルも低く国としても企業としても取り組みが遅れています。
こればかりは仕方ないのでこれからでも一人一人の意識レベルを上げて大事と捉えず、
出来ることを少しずつやって習慣化させていけば良いだけのことだと思っています。

企業がその言葉を使い過ぎるのはどうしても胡散臭いし、してるアピール合戦みたいな
感じがこの2,3年目立ってしまってたのも事実です。
サスティナブルとはそもそも「持続可能な」という意味なのでぜひ継続して頂きたいです。
この辺りの話はまた別で僕なりの考えを書きたいと思っています。

また、オークションサイトやリサイクルアプリなどの台頭により誰でも簡単に出品、
言い換えると販売ができる様になったことで様々な問題が浮き彫りになりそのまま放置
されていることも多く今後の課題となっていくとも思いますし、法の見直し含めて政府が
動いていかねばならないことが山積みです。「転売ヤー」問題もその一つですね。

もともと転売とは限定品など希少性の高い販売数が決まってるものを購入して定価以上で
販売することで、よくナイキやシュープリームなどで行列が出来てたあれです。
個人的にはあれはなんか納得できてたんですよね。ただ、今の転売というのは少し違って
転売ヤーが単純に買い占めて市場から消えて無理やり希少価値を上げてることが多い。

そもそも限定品ではないので、再販が不定期とは言えあるにも関わらずです。
これってメーカー側も迷惑で一見売れてる様で追加生産しても実は表市場にないだけで
ネット界隈での転売品が大量に売れ残ってるという事もあり得て下手すると売れない。
また、ターゲットになってしまったメーカーやブランドのイメージが下がるケースも。
アパレル業界に限らない話なのでこれは本当に早急に対策を政府が取らないと各企業が
対策するにはなかなか難しい話です。やってるのは日本人だけではないですし。

そして、この2,3年のコロナの影響というのもかなり大きいものだと言えます。
価値観の変化、生活環境の変化もありますし、ネットを利用しての売買が急増しました。
それにより素人玄人の判別がつきにくいことも多くなったんではないでしょうか?

以前からコピペに対しての考え方が人によって異なる事が怖いとは思っていましたが、
今は何も悪い事はしてないと思っている人があまりにも多く、他人、お店、企業の
WEBページの文章や写真を無断でそのまま掲載してたりすることも目立ちます。

自分も仕事上、文章を書いたり写真を撮影する事は多いですが、それなりの労力と
時間と知識が必要です。それを無断で当たり前に使用してる人が多い事は非常に怖い事です。
コピペ自体の否定ではなくそれを営利利用してる方が多過ぎる事を問題視しています。
僕も何かの参考に写真はストックする事はあるので便利な機能ではありますが・・・


随分と前置きが長くなってしまいましたが、本題はVINTAGE、NEW VINTAGE、USED、
REUSEなど最近目にすることが多くなった英単語の話です。

リサイクル、リユースショップが近年急増し、また安価なユーズドを販売する大型店も
全国各地に出店してるのが目立ちます。これ自体はいい事だと思いますし、日本には
それだけたくさんの洋服があるわけです。洋服にお金をかける金額は世界的に見ても
高いと言われてるファッションビジネスとしては絶対に無視できない国なくらいです。

先ほどの英単語は大雑把にいうと全て「中古品」です。定義というのはないはずですが、
同じ中古品でもVINTAGEは大体30年以上前の物で今でも価値のあるものを指します。
もしかしたら、古着屋さん達の中では若干解釈が違って70年代以前のものを指してるかも。
その辺りから既にブレブレなんですけど(苦笑)要は90年代に古着ブーム、デニムブームが
あったので、その頃からすると80年代の物って古くなくて時代が経ってもその感覚のままの
古着屋さん達が意外と少ないくないっぽいんです。世代による感覚の差でもあるでしょう。

そこで生まれた新語みたいなNEW VINTAGEっていうのは80、90年代の物で今でも価値の
ある服のことを指します。USEDはそのまんまと言えばそのまんまで中古品(古着)です。
年代は関係ありそうですが、ありません。古くても価値がなければただの古い物です。
REUSEは直訳すると「再利用」なので実は先述した言葉とは意味合いが変わります。
中古品では変わりないですが、年代も価値も関係ありません。また、DEAD STOCKという
言葉も古着屋さんでは言われたり見かけたりすると思いますが、コレも直訳通りです。
DEAD STOCKだからといって全ての物に価値がある訳ではないので判断が難しいです。

コロナの影響により日本だけでなく海外でもアパレル業界は不況で多くの在庫を抱え、
また倒産も多いです。逆にいうと、DEAD STOCKと名乗れる物が大量に市場に出回ります。
アメリカの百貨店やブランドの倒産はそういう意味では掘り出し物を安く手に入れる
チャンスだと考え動いたバイヤーも少なくないでしょうね。「DEAD STOCK」という
響きだけで欲しくなる衝動を抑えて冷静に判断しましょうね。
ただ、掘り出し物というか価値ある物も必ずあるので狙い目であるのは間違いありません。

例えば、写真のチャーチの靴ですが、これは70~80年代のデッドストックです。
チャーチは歴史も古く、インソックの刻印により年代が判別できるため、
コレクターを刺激するブランドの一つなんです。これは刻印がLONDONとNEW YORKの
2都市なので70~80年代だと判別できます。旧旧チャーチやオールドオールドチャーチと
呼ばれています。デッドストックでこの年代の物だったら定価以上の値を付けても
全く問題ないくらい付加価値がある物でしたが、数年前37,000円で販売しました。
おそらく破格の値段じゃないでしょうか?購入された方がどの様に履き、メンテをして
今後どの様にされるかは分かりませんが、いい状態を保てば保つほど価値は上がりますね。

これらの世界って知ってたら無茶苦茶楽しくなりますが、知らなかったら損したり
騙されたりすることもあるので気をつけないければいけません。逆に知らない人ばかりに
なってしまうとVINTAGEや価値あるDEAD STOCKという物に対しての値付けが難しくなる
時代もいつか来るのかもしれません。知らない人には入りにくい古物商みたいになるかも。

年代だけでVINTAGEと謳ってたり、そこまで古くないのにVINTAGEと言ったり、
この辺りは言ってる側が意図的なのか無知なのかが分からないのでなんとも言えません。
リサイクルアプリでは「古着屋」を名乗ってる出品者が多数いますが、商品紹介では
「素人のため〜はご容赦下さい」などの文章を記載してる人?店?も多いです。

僕自身、リサイクルアプリやオークションというのは賛成派なので格好いい古着屋で
買おうが、大型リサイクルショップで買おうが、自分が気に入った物を納得してるので
あればいいと思います。意外と価値ある物をかなり安価で見つける事もありますから。
なかなか大変だし確率は低いですが。ヴィンテージを多く扱っているお店には高額の物が
多く並びますが、価値のある物がちゃんと並んでいます。こういうのって市場価値を
リサーチして値付けしてますが、良くも悪くも今はネットで検索すると大体分かるので
どこも大体同じ値段なんですよね。個人的にこれが面白くない(苦笑)

服にしてもレコードにしても昔はあっちこっち実際にお店回って安い物を探してました。
もちろん、物を買った後に他店でもっと安くて良い物があったって事もあります。
ただ、それもひとつの醍醐味でしたし、逆に買った物に対して愛着が湧いたものです。

個人的にヴィンテージなどに極度のこだわりはないですが、好きです。
ただ、市場的に価値ある物やブランドよりも結局は安くて面白い物の方が好きです。
また、いつか題材にしてブログに書きたいですが、年代によって異なるタグを展開してる
ブランドにはついつい惹かれてしまいます。もちろん、物ありきではありますが。

trunkではLILY1ST VINTAGEを展開していますが、これは一般的な古着、ヴィンテージとは
解釈というか価値観が異なるので市場価格無視での値付けの物がほとんどです。
高く感じるものもあれば安く感じるものも沢山あります。
たまにお客さんから指摘されます(苦笑)「これ、安過ぎるからもっと高くするべき」って。
これくらいのスタンスが僕には心地いいです。

近年、アパレル業界でも値上げ続きでしたが、本番は今年からと思っていいと思います。
仕方ない事とは言え、値上げした金額の価値が本当にある物がどれだけあるかは疑問です。
僕自身が販売する側でもあり、一人の消費者側でもあるので両面で見る様にしてます。
だからこそ、今まで書いてきたことを理解して少し調べて知識を蓄えて賢く買い物を
楽しんで欲しいです。新品だけでなく程度の良い中古の服でも靴でも良いじゃないですか。

もちろん、個人差というか価値観の相違はあるので中古品でも良いという方にだけに向けて
書いています。新品を販売してる者がこういうことを勧める事ではないかもしれませんが、
僕自身の解釈、物差しではありますが、長年買い付けてるブランドでも値段を下回る
クオリティだと感じれば買い付けしません。そもそも売れる物を買い付けするというより
自分がいいと思う物、着たいと思う物、値段以上の満足感を得られる物を買い付ける様に
お店を始めた時から心掛けてます。これだけはブレずに続けたいですね。

まだまだ書き足りないくらいですが、ちょっと長過ぎるのでまた別の機会にでも
書ければいいかなと思っております。それでは、また。

1.06.2023

THE FIRST SLAM DUNK

 


2016年1月を最後にずいぶん長らく更新してなかった「trunk SIDE-B」を今年から
更新していこうかと思っております。洋服の話もしますが、なんでもありの予定です。

久しぶりの更新は昨年末に観た「THE FIRST SLAM DUNK」について書こうかと。
今後観る予定の方は読むのをお控え下さい。この映画は事前情報無しで観るのが最善です。

写真のカードの裏面にはQRコードが付いてて飛んでみるとこのイラストがARによって
動くという特典が付いてました。映画館での説明は皆無でしたが(苦笑)
たまたま捨てずに持って買ってきましたが、言われないと捨てる人はいると思います。
下部に「NOT FOR SALE」と記載されてますが、今のご時世お構いなしの人居そうです。
貰ったけど、裏面すら見てないという方はこの機会にぜひ。

SLAM DUNKを読んだのは中学生の頃からだったと思います。僕自身バスケしてたんですが、
今も昔もバスケ漫画って少なく野球やサッカー、テニスを題材にしたものが多かったです。
スラダンを読む前はDEAR BOYSを読んでました。もっと遡ると幼稚園くらいの時に
ダッシュ勝平を読んでたというかアニメで見てた記憶があります、薄らですが。

そもそもスポーツ漫画ってスポーツ自体の内容はリアリティはないものが多く、
必殺技の様なものがあることで子供たちが真似するみたいな流れがありました。
キャプテン翼がその代表的なものですよね。細かいルールもどうでも良くてとにかく
「真似したい」衝動で日々サッカーボールを蹴ってました(苦笑)

スラダン自体スタート時には最終話の様な絵のタッチ、状況など誰も想像できないほどの
コメディ要素しかない、なんならバスケを借りたお笑い漫画とさえ思ったほどです。
話が進むにつれて徐々に徐々にあの様な形になっていきました。
井上さんご自身がバスケ好きというのもありキャラクターの裏側に見えるNBA選手を
言い当てたりプレー自体も「あの時の誰々のプレーだ」なんて思いながら読むのが
面白かったですね。コミックは2度集めては手放し、数年前に3度目の収集となりました。

「THE FIRST SLAM DUNK」に関しては事前情報がない方が良いとは言いましたが、
僕は声優さんが変わってオープニング曲がThe Birthdayだと言うことは知ってました。
声優さんの件は様々なところで賛否分かれた様ですね。

僕は学生時代に邦楽だとミッシェルガンエレファントをよく聴いてました。好きでしたね。
洋楽だとブリットポップ全盛だったのでそれらとそれらのルーツとなるもの聴いてました。
友人が既にバンド組んでブリットポップのコピーをしてたんですが、僕もミッシェルの
ライブ行って「G.W.D」のベースに痺れてベースがやりたくなりライブの帰りに友人に
掛け持ちでバンドやろうってことで数日後ベースを買いに行きました(笑)

チバさんのイメージ的にアニメに曲を提供するイメージがなかったので初め聞いた時は
単純に驚きましたし、良いイメージを持てませんでした。

ところがです。

映画のオープニングで鳥肌立ちました。スクリーンに映し出されるドローイングと
「LOVE ROCKET」のマッチングがとんでもないんですよね。あれはカッコいい。
オープニングシーンのPVが欲しいです。ループでずっと流してられます。
掴みはオッケーとはこのことかと言わんばかりで前のめりで観てました。

全編通して「あ〜、こうきたか」というのが感想なんですが、そもそもストーリーを
完全に知ってるわけなのでこう思えただけでも僕は凄い事だと思っています。
内容知ってるのに何度かうるっときて涙ぐんでましたし(苦笑)
もともと井上さんの作画はアニメ向きだとは思ってないんです、昔から。
好きなシーンはオープニングのところと試合ラスト1分の無音のところなんですよね。
もちろん、今回のモーションキャプチャーによる作品は想像してたよりもはるかに
滑らかで違和感なく見ることができましたが、あくまでも個人的な好みの問題ですね。
ただ、アニメにするならという点では非常に高いクオリティの作品だと思います。

もともと音がないのが漫画なので如何に音がなくても音を感じさせるかみたいなものを
思いながら描いてる作家さん多いと思ってますし、個人的にそれを感じる作家さんが
好きです。そして、冒頭でも書いたコミカル要素を極力控えてなんなら全カットくらいの
勢いでしたね。漫画だとわりとクローズアップされてた箇所ほどカットでした。

リョータを中心にストーリーを組み立てた事である程度のシリアスさが必要だったのも
あると思いますし、声優交代の理由には十分すぎる仕上がりだったと思いました。
桜木でもなく流川でもなく三井でもなく赤木でもなくリョータにクローズアップした事は
いろんな意味でよかったんじゃないでしょうか。原作では一番掘り下げられてないキャラ
なので知りたい人もいたでしょうし、触れてない分後付けで作りやすかったと思います。
多少の設定のズレみたいなものだったら大目に見れますしね。

そもそもできるだけリアルにバスケを表現するにあたり声はそこまで必要なく、なんなら
声がなくても何も問題ないくらいです。声優さんには失礼だとは承知ですが、今となっては
誰がどんな声だったか思い出せません。僕だけかもしれませんが(苦笑)

昔のアニメはコミカル要素多めなのである意味今回の「THE FIRST SLAM DUNK」は
もう一つのスラムダンクと言っていいかもです。
TV版では今回の話までは制作されてないのでなんとも言えませんが、あのノリで山王戦を
作ってたら・・・と想像すると作ってなくて良かったのかもと思いました。

上述しましたが、スポーツをある程度リアル寄りに振った漫画やアニメって少ないですが、
「THE FIRST SLAM DUNK」が今後のスポーツアニメの基準になった事で良くも悪くも
ハードルがかなり高くなった事は間違い無いと思いますし、日本だけでなく海外でも
この映画はウケるクオリティに仕上がってるんじゃないでしょうか。

現実的に無いだろうとはわかってますが、スラダンの全編新作の映画を観てみたいと
思ってる人は少なくないと思っています。いや、観たいですね〜。

長々と文章ばかりになりましたが、こんな調子でSIDE-Bは更新していく予定ですので、
暇つぶしにでも読んでいただけるくらいの内容にはしていきたいと思います。

1.05.2016

タミヤ ファイティングバギー2014

昨年のいつ頃に作ったかも忘れちゃいましたが、実は作っていた
ファイティングバギーです。とにかく重たいです(笑)


このアングルがたまりません。

ムッチムチのリアタイヤにメカメカしいリアまわり。
このタイヤはのちにマイティフロッグに搭載されます。


当時、バギーチャンプの後継車として発売されましたが、なかなか思うように
走らず他メーカとの差も縮まらなかったと聞いています。
その後、軽量化が成功したマイティフロッグがタミヤの救世主になります。

でも、やっぱり見た目は格好いいと思います。


カラーリングはほぼほぼそのままで。
箱はブルーでしたが、サンプルカーはブラックだったような記憶もあります。

昔のモデルは箱が「スーパーチャンプ」となっていましたが、復刻は
「ファイティングバギー」になってます。海外だと「スーパーチャンプ」のようです。



見た目はやっぱりいいですね(笑)


デカールはやっぱり昔とは変更になっています。


このリアダンパー用のオイルタンクも個人的に好きです。

昨年、ワイルドワン、グラスホッパー、タムギアのマイティフロッグを
手放したんですが、結局その後ファイティングバギーが(苦笑)

もちろん、復刻のトマホーク2015も購入していますが、未だ手付かずです。
ターボスコーピオンもシャーシだけ手に入れてます。

年末に引越しをする際に大変でした・・・

そろそろまたラジコンいじりを再開しようかと思っています。

12.26.2015

モノに思いを宿すということ

道具というのは機能を重視するモノもあれば見た目を重視したりします。
理想としてはどちらも兼ね備えているモノです。

そして、モノというものには思い入れというものを人は注入していきます。
使っていないけど、捨てられない、手放せないなんてことも多いと思います。
何個もなくてもいいのについつい買ってしまうなんてことも(苦笑)

僕にとってボールペンがそうかもしれません。



もともと僕が使っているボールペンとシャープペンシルです。
どれも思い入れが強く、使っています。

モンブランのボエム(小さいタイプ)は14,5年前に新宿伊勢丹のメンズ館内の
お店で働いていた時にモンブランショップでバレンタインイベントを開催してて
その時に自分用にこのバレンタイン限定モデルを購入しました(笑)
通常モデルはハート型ではないんです。コレは芯を太いのにしたり普通にしたりと
ずっと使ってます。ほぼ間違いなく一生使ってくモノの一つだと思います。

モンブランのシャープペンシルは10数年前ハワイに初めて行った時になんとなく記念に
買っちゃいました(笑)モンブランはもう1本持っていましたが、探しましたけど、
手元にないのでおかしいなと思いましたが、後輩にあげたような記憶があります。
大事に使ってくれてればいいんですが・・・

そして、赤いのがモンテグラッパ。コレは4,5年くらいの短い歴史になりますが、
お店でお客様がサインで使用する際に使っていただいてますが、僕も仕事で
使うことも多かったので、お客様専用のモノを探していたんです。

すると、意外なところがボールペンを作るという情報が。
しかも、受注生産の限定だと。これはこれはオーダーしなきゃと。
そして、オーダーして2ヶ月くらいで届きました。


trunkではもはや大定番のバッグブランド「Ense」がボールペンを限定で作りました。
ペンケースはやっぱりレザーで。何種類か色があって、金具もゴールドとシルバーで
選べたのでカスタムオーダーでしたね。1本はお店用、1本はプレゼント用です。


お店で使うモノなのでお店に関わりがあるモノが良かったのでピッタリです。
材質はウッド。職人が一つ一つ削り出しています。以前取り扱いがあった
クラッチバッグの取っ手部分も同様の手の込んだモノを使っていました。


品がいいですね。フォルムも素敵です。お客様が使われて、欲しいなんて声が
出ないかな?なんて期待もあってお店で使います。
その時はEnseにお願いしたいな、なんてことも考えています。

また1本、長く使っていくモノが増えました。モノに思いを宿すということは
モノを大事に使う秘訣なんでしょうね。

皆さんもモノに思いを宿してみてはいかがでしょうか?

12.16.2015

Godfatherに見るファッション

僕は15、6年前に洋服業界に入りましたが、せっかく仕事としてやるなら
それまでに着たことがないスーツを着たいと思いました。
もともと大学生の頃からスーツスタイル自体には興味があったので、志願しました。

スーツは実際にカジュアル服の元になっていますし。

その頃は今と違ってインターネット環境が今ほど普及してなかったり、情報も
限られていたので写真集や映画を見て洋服の勉強していました。

そして、出会ったのが「ゴッドファーザー」です。



それまで、なぜか敬遠して見ていなかったのですが、スーツを着るなら見なきゃと。
内容も好きですが、スタイリングがすごく格好良く入り込みましたね。
BOXセットは後輩にあげたのでまた新しく買って自宅にあります。
今でも気が向いたら見ます。内容は決して明るいものではないのですが、大好きです。



写真集も持っています。実際は写真集というよりも3部作の紹介ですね。

個人的にはパート1とパート2が好きです。パート3は内容的に暗すぎというか、
ちょっと辛すぎますね、見ているのが(苦笑)

パート1は1940年代半ば〜50年代前半、パート2は1950年代後半、
1910年代〜20年代の話になります。生活環境、スタイリングが非常に興味深いです。

まずは、マーロン・ブランド演じるゴッドファーザーことヴィトー・コルレオーネ。
あのかすれた低い声もしびれますね。所作も含めて最高に格好いいです。



少しブラウンよりのグレーフランネルスーツにグレーっぽくも見えるブルーの
シャツに赤茶のネクタイ。格好いい・・・
白シャツなんかだと堅く見えるかもしれませんが、デニムやシャンブレーシャツを
合わせると少し「抜き」が出ますよね。


そして、僕が彼のスタイリングで一番好きで影響されたのは映画でも後半のシーンの
このスタイル。ダークスーツにネイビー地に赤のペイズリー柄のタイ。
僕はベルベストでチャコールグレー地にネイビーのカラードストライプのスーツを
オーダーで作ってフランコ・バッシでそっくりなネクタイを買いましたね(笑)
当時は僕も髪型はオールバックでした。ガラが悪いとよく言われました(苦笑)

そして、アル・パチーノ演じるマイケル・コルレオーネ。


彼は大事に育てられ、父親のようにはなりたくないという思いで大学中退して
海軍に入り第2次大戦で英雄になるといったインテリ系というか
おぼっちゃまといった位置付けでした。その当時のスタイルがこの写真ですが、
コーデュロイのジャケットにボタンダウンのシャツを着てネクタイといったところも
そのおぼっちゃま的要素をスタイリングでも表現しているんだと思います。
でも、アイビースタイルに通ずるこのスタイルも好きですね。


このマイケル役にはもともとロバート・レッドフォードの予定だったそうですが、
コッポラ監督がアル・パチーノ推しで無理やり進めたそうです。配給会社の
言うとおりにしていたら、きっとこのような映画にはならなかったでしょうね。

この時代はブレイシーズも必須アイテムですね。どんなスタイルの時もしてます。


僕がマイケルのスタイリングの中で影響受けたのがパート2の冒頭シーンで
着ていたこのスーツ。グレーのシャンタン生地。これはたまりません!
サンタキアラのネップ感のあるグレーのリネンスーツ、マイケル・タピアの
シルクシャンタンのベージュのスーツを買いましたね。

デリケートな生地なのでシルクシャンタンのスーツは結婚式なんかの時に
着るくらいですね、今となっては。


パート2の最後の方のシーン。もう貫禄ありすぎです(笑)
ダークトーンのスリーピーススーツもやはり買いましたねー。

この時代、実際にアメリカにいるイタリア移民はかなりの人数でもありこのような
マフィアというのは実際に存在していて、彼らはイタリア人ならでは?の
身だしなみ、着こなしはアメリカ人よりも気を使っていたため、劇中でも
「ポマードつけて格好つけているのが気に食わない」何ていうセリフも
出てくるくらいです。価値観の違いなんでしょうが、格好いいですね。


パート3ではマイケルはもうおじいちゃんです。ただ、このスタイルも素敵。
ピンホールのシャツにペイズリーのネクタイ。そりゃ、真似しました。
ただ、当時はピンホールのシャツを探してもなかなか見つからず、仕方なくフライの
タブカラーシャツを購入しました。そして、自分の会社にピンホールとタブカラーの
シャツをオリジナルで作るようにお願いしました。

先ほどの3ピーススーツ、ピンホール、タブカラーシャツに共通するのはネクタイが
立って立体感が出るんですよね、胸元に。それがグラマラスで格好いい。

このシーンというのは偉い人たちが集まっているんですが、父親のヴィトーも
同様のシーンでペイズリーのタイしてましたよね。シンクロしてるんです。


番外編ですが、マイケルの妻のケイを演じているのはダイアン・キートン。
彼女はファッションアイコン的存在ですよね。素敵です、本当。
以前に紹介した「アニー・ホール」はパート2とパート3の間の作品です。


パート2ではヴィトーの若い頃の話がありますが、それを演じているのが
ロバート・デ・ニーロです。彼はパート1の時にマイケルのお兄さんの
ソニー役のオーディションでイメージが合わずに落ちていますが、演技力は
買われたのでこの役に抜擢されています。声をマーロン・ブランドに寄せたりと
非常にいい演技をしています。

このシーンは1910年代〜20年代になります。今までと違い少しカジュアル感が
出ますが、こんなテイストのスタイリングが好きな人は多いんじゃないでしょうか?
バンドカラーシャツにチェスターコート。今もしますよね。

この頃は平凡な生活ではありますが静かに幸せに暮らしていた頃になります。


大人しかった彼が少しずつ見た目も変化していきます。髭を蓄え、オールバック。
そして、このスタイリングも格好いい。ダークトーンのシャツにネクタイ、
チョークストライプのジレにアトリエコート。参考になりますねー。


先ほどのスタイリングのアレンジ版。ネクタイがむちゃくちゃ格好いい。
ディンプルの入り方がすごく好きですね。ノットの小ささといい、大好物です。

アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロともに時間とともに成長、変化してて
それが演技だけではなくてスタイリングからも伝わるっていうのがいいですね。


番外編はこの時代の隣人から相棒となるクレメンザ。このスタイルもいいですね。
ラウンドカラーに艶っぽいタイをしてタイピン。スリーピースだったかツーピース
だったかは忘れましたがなかなかのオシャレぶり。


ヴィトーがゴッドファーザーになるきっかけは彼との出会いでもあります。
出会った時の彼らのスタイリングを見ればなんとなく分かりますよね。
このクレメンザはおじちゃんになるとびっくりするくらい太ってます(笑)

国は違えど、この時代のスタイリングで有名な写真集といえば、


アウグスト・ザンダーの写真集ですね。様々なデザイナーがこの写真集に
影響を受けて物作りをしています。

マフィア映画はスーツスタイルの勉強になるとよく言われていました。
たくさんある中でもやはりこの映画が一番かと僕は思っています。

昔の人ほど意外と身なりには気を使っていた、ということに気づかされて
自分も背筋が伸びることも多々あります。小さな喜び、幸せを大事にしていた
時代ってもしかすると現代よりも豊かだったんでしょうね、心の面で。

いかがでしたでしょうか?かなりファッションに寄った見方ではありますが、
非常に素敵な映画です。ぜひ、ご覧になってみてください。